曖昧性の排除

昨日、今日と取引先の新しい仕組みに向けて業務設計に励んでいる。取引先の複数部署およびアウトソーシング先が関与する複雑な工程をどうシンプルにするか最大公約数を再定義する試み。

様々な人達がオペレーションを回す上で、部署Aは簡素化されたが、部署Bは煩雑さが増したのでは意味がない。また、アウトソーシング先Cにしわ寄せがいってもいけない。皆んながhappyを実感できる新しい仕組みにしなければいけない。結果的に組織全体で効率性が増し、工数が削減され、本来業務に資源を集中できるようになる。

こういった際に気をつけたいポイントが、曖昧性の排除だ。それでいて、難しく感じるような専門用語も可能な限り避けたい。例えば、勘定科目という言葉は、経理部門にとっては日常会話レベルの話であっても、営業部門にとってはイミフなものと目に映るかもしれない。経費分類という言葉に置き換えてみてはどうだろう。経費だとどうだろう。勘定科目と経費とでは、随分とイメージするものも異なってきてしまう。

曖昧性を排除する方法の一つとして、言葉の定義付けと共にヒューマンエラーの入り込む余地の削減は大事なことだ。半角なのか全角なのか等。ゆえに、フィールドには入力規則を予め設計しておくことも必要だ。そして、これによってプルダウンが100項目にも及ぶようではユーザビリティを損なう。使いづれぇ…、と。だから、例えば地域選択(関東、中京、関西等)を行い、都道府県(関東なら、栃木、茨城、千葉、埼玉、東京、神奈川、群馬等)が選択候補としてできる仕組みが望ましい。任意入力では、都道府県の欄に入力されるものは、東京とする人もいれば、東京都とする人もいるのだから。

このような業務設計に先駆けて、先週後半は取引先ヘッドオフィス従業員の方々全員と1人10分程度の業務実態調査のヒヤリングを行った。ヒヤリングの中で聞かれる、これが忙しい、あれが忙しいという数々の業務の洗い出しを行う過程で、僕は実に多くの方々に次のような質問をした。「では、週40時間の業務量があると仮定して、この最も時間を割いている業務Aは概算として何時間程度を要していそうですか?」と。時には、こんな言葉を追加することもあった。「では、その業務Aは、少ない時で何時間、多い時で何時間程度を要しますか?」ここまで来ると、随分と業務のウェイトが見えてくるようになる。

曖昧性の排除だ。相手の言う「すごく多い」は、どのくらい多いのかを正確に把握しなければならない。実数、割合、分布といったように、事象を数字に置換することで見えてくることが多分にある。相手のイメージと自身のイメージを近似値ににじみ寄らせるのは、数字を用いた対話が重要だ。そして、紙とペン。グラフや図を描き、自身のイメージにズレはないかを一緒に確認することで、ズレを補正する。

ボーリングで高得点を得るためにはセンターピンを外してはいけない。仕事においても同じことが言えて、センターピンをしかと見極め、そこを外さない手法が肝心要と言えましょう。曖昧性を排除することを意識の内側に置き、日々の仕事に注意を払っている次第です。

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